漢の時代、支那の文献には剣の装飾に鮫皮を使用していたという記述が見られ、発掘品にもそれが確認されているようです。日本でも、正倉院の所蔵品の中に鮫皮の装剣が見られることから、鮫皮の使用法は奈良朝時代に支那から伝わったと推測されています。

鮫皮は全て灰黒色の表皮に覆われているため、まず水に浸して柔らかくした後、簓(よみ:ささら)で表皮を剥がし、鹿の角を粉末状にしたもので磨き上げてから使用していました。現代ではこの下処理を薬品で行うのが主流と言ってよいでしょう。
この鮫皮は、装剣において、柄と鞘に使用する鮫の種類は基本異なっています。柄に使用するのは「真鮫(よみ:まさめ。眞鮫)」の皮です。実は鮫ではなくエイの一種とされています。当時は高価なものだったため、最高級部位の皮を使用した刀は非常に珍重とされたそうです。
鞘に使用される鮫皮は、まさしく鮫の皮とされ、一般的に柄に使用されるものよりも大きいものが目立つようです。産地も国内の物が多く、静岡県産のものが多く使用されたようです。
鮫鞘は、鮫皮を鞘に貼り、その上から漆を塗って研ぎだすため、様々な模様が見られるのも特徴でしょう。鮫鞘は、古い時代にはあまり称賛されていなかったものの、徳川時代中期から流行したというような話もあります。

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