藤原清衡は平安時代後期に活躍した武将であり、約100年に渡り栄華を極めた奥州藤原氏の初代当主です。清衡は天下泰平を望み、戦により命を落としたすべての人々を弔い、慰霊するために中尊寺を建立しました。

 

「藤原清衡棺上刀」は清衡の守り刀とされています。長さはおよそ48cm(五寸八分強)。反りはおよそ1.5cm(五分)。平造、丸棟、先幅はかなり広く、先反りが強いです。棟区を深く切り、刀区を浅くし、一見未相州の脇指しを思わせます。

地鉄はあくまで清純に澄んでいて、総体に板目肌が見え、綾杉肌のところもあり、地沸をふくみ弱い地景があらわれ、刃寄りと棟寄りにもほのかに映りがたちます。刃文は元来直刃にその一部をわずかに残しています。刀縁は冴えて明るい匂い出来。彫物は表裏に広く浅い樋定木の浮彫があり、さらに細い連樋が力強く彫り付けられています。

上記の姿からして、この刀は蝦夷刀の原型を示すものと考えられます。蝦夷刀とはアイヌ(現在の北海道北)に伝承された儀礼用の刀剣で、アイヌ刀とも称されます。アイヌ民族の間で刀剣には霊力が宿っており魔除けの力を持つものとされ、持ち主と一緒に埋葬されたり、副葬品として墓に納められたりしました。

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