甘呂俊長は、高木貞宗の弟子と伝えられています。ただし高木貞宗が相模系の作風であるのに対し、俊長の作は大和系の特徴が強く見られます。

 

『短刀 銘 江州甘呂/俊長』の長さはおよそ27.0cm(八寸九分)で、反りはわずかです。平造で庵棟、身幅はやや広め。重ねは薄く、反りが浅めで、先がうつむきごころになっています。

鍛は板目肌に柾が流れて詰まり、地沸がついていて、地景が入ります。刃文は湾れに乱れを交え、沸よくつき、砂流しがかかっていて、匂口は深いです。直に先を広くし掃掛けた帽子になっています。

茎は生ぶで、わずかに反りがつき、刃上がりの栗尻が見られます。鑢は筋違いであり、生ぶ一つ孔の目釘です。銘は表の目釘上から「江州甘呂」と、裏は「俊長」と切られています。

地鉄に柾気がたっていること、刃文が沸付きの砂流しであること、帽子先を広く焼いて掃掛けるあたりは大和色が強いといえます。

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