刀 銘 井上真改 延宝二二年八月日について
井上真改は、江戸時代初期、大坂で活躍した名工です。
父であり和泉守国貞に師事し、若い頃からその技術を発揮しました。次男でありながら2代目国貞を襲名。大坂新刀の中でも特に地鉄の精緻さや相州伝風の刃文で知られ、重要文化財や重要美術品に指定されている作品も複数存在します。
そんな井上真改の代表作の一つが、この『刀 銘 井上真改延宝(寶)二二年八月日』です。地刀の出来が非常に優れ、沸の美しさと地刃の冴えが際立っています。真改には乱の出来もありますが、特に直刃出来には優れた作が多くみられます。振りも最もよいです。彼が真改と改めたのは寛文十二年八月からであることもふまえると、裏の銘を草体に切っていることも見落せません。
長さがおよそ69.7cm(二尺三寸)で、反りがおよそ1.8cm(六分)です。鎬造で、庵棟。反りは浅く、中鋒は延びごころとなります。鍛は板目肌よくつみ、地沸よくつき。地景が頻りに入っていて、地鉄は冴えています。刃文は直刃調で、浅く大きくのたれ、匂深く小沸が厚くよく付きます。刀身の表裏とも鎺元から上に長く金筋がかかり、帽子は直ぐで小丸。先端がわずかに掃掛けられています。
茎は生ぶで、先は栗尻。わずかに反りがついています。鑢目は筋違いで、化粧鑢がかかります。目釘孔は一つで、表の目釘孔の下から棟に寄せた位置に「井上真改」と楷書銘が、裏面には草書体の紀年銘が切られています。
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