国貞(國貞)の銘で、「摂州大坂住」と切られているものは受領以前の作に多く見られ、「大坂於城下」(大坂城下ニ於イテ)と切られているものは寛永三年か四年の年紀の作に見られます。

単に「大坂住」とだけ銘したものは、国貞の場合、年紀ある作には見られない傾向です。この短刀は、和泉守藤原国貞の銘字から見て、おそらく寛永の十九年か二十年頃の作でしょう。

ところで、堀川一門の刀工の作には、相州貞宗を模したと思われる作が多く確認できます。これも国貞の貞宗写しではあるものの、流石「名工」といえる姿ですし、地刃の出来も彫物も見事です。国貞の彫物は、他の堀川一門の作に見る彫物とは趣が異なり、非常に緻密で、特徴が異なります。同時代の大坂刀工の作にはこのような彫物を見ないところから考えて、恐らく国貞の自身彫りとするのが妥当でしょう。

国貞の作のうち、現存する貞宗写しの短刀は数本ありますが、その中でもこの短刀は秀逸です。茎がわずかに朽ちていることが惜しまれてなりません。

 

そんな「脇指 銘 大坂住和泉守藤原国貞」の長さはおよそ31.4cm(一尺〇寸三分五厘)で、反りはおよそ0.5cm(一分八厘です。

平造、三ツ棟、身幅広く、反りつき、寸延びの小脇指。鍛は小板目肌よくつんでおり、地沸厚く、地景頻りに入って冴えています。刃文はのたれに互の目を交じえ、丁子足入り、匂深く小沸よくつき、砂流しかかり所心に金筋を交じえるなど、刃中の働きが豊富です。

帽子は乱込み、先小丸、やや長く返っています。表には素剣に爪、裏には梵字に護摩箸を巧みに彫っており、一段と風情を添えているといえるでしょう。

茎は生ぶ、先は栗尻、鑢目大筋違。目釘孔は2つで、生ぶ孔の上から棟寄りに大坂住和泉守藤原国貞と十字銘が切られています。

 

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