天羽々斬(あめのはばきり)

十握剣(とつかのつるぎ)は、刃長が十握りある剣。柄は示指から小指までの幅、つまり一握りのこと。十握の長さは2尺5~6寸(約75.8cm~78.8cm)ばかり。十拳剣・十掬剣・十柄剣とも。
素戔鳴尊の剣は、出雲で八岐大蛇を斬ったので、天羽々切りの剣または大蛇(おろち)と呼ぶようになった。羽々とは大蛇の尾のことという。のち大和の石上神宮に奉納されたとも、天草切りの剣と名付けられたともいう。

天之尾羽張剣(あめのおはばりのつるぎ)は、伊都尾張剣ともいい、伊邪那美命が迦具土神を出産したのが因で死去したとき、夫の伊邪那岐命が怒って、迦具土神を切った十握の剣の名である。「尾羽張」りは切先が幅広くなった意とも、また「尾刃張」りで、刃全体が鋭利な意味ともいう。
天尾羽張神(あめのおはばりのかみ)は天尾羽張剣を神格化したもので、天安河の上流にある天石屋に住んでいた。天照大神は大国主命を帰服させるための使者に、天尾羽張神を選んだ。しかし老齢の故であろう、わが子の建御雷神を代人として、大国主命のもとに行かせた。

蛇之麁正(おろちのあらまさ)はは、蛇韓鋤剣に同じ。大和の石上神宮に伝来という。
蛇韓鋤剣(おろちからさびのつるぎ)は、素戔鳴尊が出雲の簸川上において、稲田姫を救うため、八岐の大蛇を切ったとき十握の剣の名。また蛇之麁正・天蠅斫剣・天羽々斬ともいい、吉備の神部のところに伝来という。

(参考文献:日本刀大百科事典より転載・引用・抜粋)

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