大黒正宗
大黒正宗(だいこくまさむね)
- 短刀 銘 正宗作 (号:大黒正宗)
- 長さ 9寸4分(28.48cm)
- 反り 内反り
大黒正宗は、刃長9寸4分5厘(約28.6cm)重ね2分(約0.6cm)、平造、真の棟。差し裏に、素剣と梵字、裏に食い違い樋。地鉄は板目肌、物打ちに綾杉風の肌が一筋走る。刃文は直刃。帽子は小丸。中心はうぶ、目釘孔一個、「正宗作」と三字銘。享保7年(1722)、七千貫の本阿弥折紙つく。
相州正宗生ぶ茎在銘の短刀は現在までに5,6口知られているが、大黒正宗は新藤五国光に彷彿たる細直刃を焼く得意なもので、「元亀本」に「刀(短刀の意)は少し重ね薄に幅あり、銘を直刃には太刀にも刀にも打つなり」とあって、それに当るものという。また「埋忠銘鑑」には「やきなをしと申候」とその押形のよこに注記しているが、よく沸えた地鉄は頗る細美で精彩があり、刃中がこまかくよくはたらき、しかも鎺下を焼き込む相州上工の手癖をそのままに存するなど、到底際はではないというのが定説になっている。
徳川家康がまだ浜松にいた織田氏時代、最上義光は早くも徳川家康に通じていた。家康はそれを喜び、相州正宗の短刀を贈った。後年、最上家が改易になり水谷家で買ったのは、その短刀で長さは8寸5分(約25.7cm)という。大黒の名号由縁は明かではない。
(参考文献:日本刀大百科事典より転載・引用・抜粋)
(法量) | |
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長さ | 9寸4分(28.48cm) |
反り | 内反り |
元幅 | 8分6厘(2.6cm) |
茎長さ | 3寸4分3厘(10.4cm) |
茎反り | なし |